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【ネタバレ】「劇場版メイドインアビス 深き魂の黎明」感想

「劇場版メイドインアビス 深き魂の黎明」を見てきた。

本作はTVシリーズの続編で、黎明郷ボンドルドとの戦いが中心となるストーリーだ。

TVシリーズの最後ではナナチという「なれはて」の少女と出逢い、深界第四層を出発した。

本編はその直後から始まる。

最初に私個人の感想を述べさせてもらうと…

素晴らしい。

原作を忠実に再現しており、往年のファンも満足するに違いない。

アビスの過酷な環境、ボンドルドの狂気がよく描かれていたと思う。

新登場のキャラ「プルシュカ」のこともよく掘り下げられて、感情移入せずにはいられなかった。

以下、映画の内容を詳しく述べていく。

劇場版メイドインアビス 深き魂の黎明 公式HP

汚染された楽園

ナナチハウスを出たリコ一行は、深界第四層を降りてゆく。

ライザやオーゼンの情報を頼りにたどり着いた先は『不屈の花園』と呼ばれるトコシエコウの群生地。
しかし不屈の花園は既に、深界第六層からの侵入者「クオンガタリ」に汚染されていた。

ボンドルドの使者『祈手』アンブラハンズは、不屈の花園が60日前から禁域に指定されていることをリコたちに告げる。
そしてクオンガタリを始末しべく、不屈の花園を焼き払う。

一面真っ白で楽園のような美しさを持つ不屈の花園であるが、それがクオンガタリの不気味さを引き立てる。

監督は一押しの場面としてこちらのクオンガタリ登場シーンを挙げている(映画パンフレットより)。
なんでも「いかに気持ち悪く見せるかで頑張っている」そうだ。

それはもう気持ち悪いですよ

クオンガタリは
・草花に擬態し、
・人間の穴という穴から侵入し、
・幼虫を植え付け、
・脳を食い荒らし、
・生き餌にする
というエイリアンばりの鬼畜クリーチャーだ。

それが映画館の大画面で、ゾンビのような状態で生きながらえる人間の中に、ギチギチうねうねカサカサ音を立てながら出入りしているのである。

見事です監督。
マジキモいです。

水の世界

不屈の花園を出立した一行は深界第五層『なきがらの海』へ向かう。

そこは大量の水が海のような空間を形成する「水の世界」だった。

深淵の水によって形成された氷の橋を伝って、ボンドルドの住処『前線基地』イドフロントを目指す。

原作と同様、第五層はあっさり進む。

リコ一行はナナチが氷の柱を案内してくれるおかげで殆ど危険を冒さずに済んでいる。

道中「ハマシラマ」という気色悪い水棲生物を捕獲する。
リコ一行はこいつを刺身にして食べるわけだが、それがまた気持ち悪い。

陸に上げられたハマシラマは、全身のひだをびくびくと震わせ「アッアッ」と奇怪な声を発している。
調理するために白い身をもむと、緑色をした大量の粘液が溢れてくる。

見た目だけで十分気色悪いのだが、映像になると一層気色悪い。

アニメってキモいものを格段にパワーアップさせる力があるよね。

ナナチがミーティについて語るシーンもいいです。
もふもふ感たっぷり。

イドフロントの光と闇

古い祭祀場であり、深界第六層への唯一の入り口である『イドフロント』にたどり着く。

そこでリコたちが出会ったのは年端の行かぬ少女プルシュカ、そして黎明卿ボンドルド。

凍てついた環境に似合わぬあどけなさを持ったプルシュカに戸惑うレグを尻目に、リコはプルシュカと打ち解けて仲良くなる。

黎明卿に案内された部屋で寝ていたリコが目を覚ますと周囲には誰もいない。

リコは部屋を出てナナチとレグを探す。

プルシュカ可愛いですね。
父親はこのセリフを一度も言わない

作中でも屈指の悲劇的な末路を迎える彼女だが、その可愛らしさが悲壮感を強めている。
映画では水瀬いのりの癒やしボイスによって可愛さが倍増。
動き回り喜怒哀楽がはっきりわかるようになってさらに倍。
そしていろんな回転の力(髪型の渦巻とか基地の回転とか)を加えれば4×3の12倍可愛いだ!

しかもプルシュカ、リコと大して年が変わらなそうなのに、かなりのものを持っている。
なにがとは言わないが。

さて、イドフロントでプルシュカが父であるボンドルドに抱きつくシーン、よーく覚えておいてほしい。
映画のキービジュアルにもなっている部分だ。
よく目に焼き付けておくとよろしい。

ボンドルドの狙い

フロアをくまなく探すリコだが、殆どの部屋に鍵がかかっており、行けそうな場所がない。

最後に残っているのは上昇負荷がかかるため登ってはいけないと言われた階段。

嫌な予感がして登ることを決意するが、第五層の上昇負荷によって昏倒し怪我をしてしまう。

助けに来たプルシュカと共に階段を登りきると、そこには椅子に縛られ片腕をもがれたレグの姿と、それを取り巻く祈手の姿があった。

リコが第五層の呪いで自分の感覚を失っていく様子は、動きと色合いが付加されたことで観ているものによく伝わってくる。

「どこって、どこ?」

そして次が問題のシーン。
後半は大体問題のシーンだけど

服を脱がされ謎の金属製椅子に拘束されたレグは、なにやら変な管を着けられている。
そして祈手が『スパラグモス』を使ってレグの右腕を切断すると、レグからいろんな液体が溢れ出てくる。
この液体、コラボカフェで発売中である。度し難い!

レグの絶叫とは対照的に祈手の分析は異常なほど冷静だ。
そのギャップが絶望感を煽る。

レグは機械の身体であるにも関わらず痛覚がある。
観ているものは嫌というほどレグの苦しみを味わうことになるだろう。
このシーンをお目当てにしていた一部の奇特な人々もきっとご満足いただけるだろう。

ここからボンドルドたちの倫理観がわかってくる。
テレビシリーズの時点で相当ヤバいやつだということはわかっていたのだが、ここからが本領発揮である。

ボンドルド死す

ナナチとプルシュカの助けによってイドフロントを脱出したリコとレグ。

ボンドルドの異常性を目の当たりにした彼女らは、絶対にボンドルドを倒すと決意する。

カッショウガシラの巣の中で、やってきたボンドルドに勝負を挑む。

このシーンではボンドルドの強さが明らかになる。

レグたちとボンドルドとの戦いは多くの視聴者が期待していたことだろう。

この映画はその期待を裏切らない。

ボンドルドはカッショウガシラをスパラグモスでバラバラにする。
カッショウガシラの肉片がボトボト撒き散らされる様は、ボンボルドの圧倒的な戦闘力を示している。

三人はナナチの作戦によって見事ボンボルドに勝利するのだが、直後にプルシュカが現れたことで達成感は一瞬で悲壮に変わる。

プルシュカにとってボンボルドはよき父だったのだ。
ここで挟まれる回想でも、ボンボルドの父親としての姿が描かれる。

パパに寄り添って泣くプルシュカの姿はいたたまれない。

プルシュカと共に現れた祈手は、唐突にボンボルドの死体からマスクを取るとそれを被った。
するとプルシュカの態度が一変する。

「パパ……?」

祈手の姿はみるみる変化し、ボンドルドそのものになった。

ボンドルドの不死身ぶりもそうだが、プルシュカの態度の変化も恐怖を煽る。

目の前のドロドロに溶けた元パパなど意に介さず、新しいパパの誕生に大喜びしているのである。

彼女とて倫理観が崩壊しているのだ…

黎明卿ボンドルド

ボンドルドは確かに死んだ。
しかしすぐさま祈手が現れ、ボンドルドの仮面を装着すると、体格が変わりボンドルドそのものに変身した。

ボンドルドは『精神隷属器』ゾアホリックを使って自身の精神を祈手に移すことで、何人もの自分を作り出していたのだ。

ボンドルドを攻略するためには精神隷属器を攻略するしかない。
しかもレグは電力切れが近い。

そこで一行は二手に分かれてイドフロントに侵入した。
リコとナナチが時間稼ぎをしている間にレグが電力回復と精神隷属器破壊を担当する。

ボンドルドと対峙していたナナチは、白笛が人間から作られること、ボンドルドが自身の肉体を使って白笛を作り出したことを知る。

そして電力を十二分に蓄えたレグが登場し、再び戦火を交える。

ナナチとの会話の中で黎明卿を黎明卿たらしめるエピソードが明かされる。

精神隷属器は使用者の精神を壊す危険な遺物であるが、ボンドルドは平気でそれを使っている。

また、いろいろやっているうちに元々彼が持っていた白笛には「精神性が人間ではない」と判定されてしまい使えなくなる。
そこで自身の肉体を白笛にすることで解決した。

黎明卿は他者の命を軽く扱うのと同じくらい、自分の命を軽く扱っているのだ。
研究のため、アビスの謎を明かすため、人類の発展のためならば自分の肉体すら利用してしまうのがボンドルドという人間である。
果たして人間と言っていいのか判断しかねるが

ボ卿マジボ卿

ナナチがボンドルドの異常性を明らかにしたところで、うねうねした真っ黒レグとが壁を突き破って登場。

黒いオーラを纏ったレグは、腕をぐねぐねと伸ばし常時臨戦態勢だ。
獣のような動きで縦横無尽に飛び回り、ボンドルドの仮面の一部を食い破る。

ここの動き、レグの変容ぶりは実に化け物じみている。

仮面の下の眼は、もはや人間のそれではない。
猫の瞬膜のように横に開く眼、2つの瞳孔。

装甲の下のギョロギョロした眼でエヴァンゲリオンを想起したのは私だけではないはず。

巨大な尻尾も生えているし、ボンドルドの身体は一体どうなっているのか。

レグが制御不能の状態で火葬砲をぶっ放そうとすると、ナナチがレグを止めようとする。
ボンドルドは「おやめなさい」とナナチを制する。
ボンドルドがナナチを大事に思っていることがわかるシーンだ。

レグはド派手に施設をぶち壊し、大きな風穴を開ける。
一時休戦だ。

奈落での決戦

落下している最中、レグはナナチの言葉を思い出し正気を取り戻す。

なんとか建物内に戻るも、再び現れた黎明卿はレグを巻き添えに奈落の底へ飛び込む。

そこはボンドルドが第六層の上昇負荷の実験を行う箱庭だった。

レグとボンドルドの最終決戦が始まる。

本映画最大の見どころ。

原作既読者が一番楽しみにしていた部分かもしれない。

いろいろな特級遺物を惜しみなく使いレグを追い詰めるボンドルド。
レグも暴走していたときに何かを思い出して動きがよくなる。

本作中でも特に動きの激しいシーンだ。
レグがどれだけ強くなったのか、それと対峙するボンドルドがどれだけ化け物じみているのかよくわかる。

箱庭から脱出したレグを追い、縁に着地したときのボンボルド最終形態がカッコいい。
鱗で覆われた鞭のようにしなる尻尾、巨大な爪を持つ白い手足、そして不気味な眼が除く仮面。

完全に人間の範疇を超えている。
元々人間らしからぬ精神性を持っていた黎明卿は、また新しい世界に世界に踏み込んで身も心も怪物になってしまった。

 

ボンドルドは名前を呼びながらカートリッジを排出する。
最後に排出されたカートリッジにメイニャが駆け寄って鳴く。
そう、ボンドルドは既に自分の娘に手をかけていたのである。

このときのリコがどんな気持ちだったか、筆舌に尽くしがたい。

最終的にボンドルドはレグとリコのクロスファイアによって止めをさされる。
リコはきっちり役割を果たしたのだ。

プルシュカの命が残酷にも消失しようとしているとき、リコは耐えた。
今自分の存在を気づかれてはボンドルドを倒すことができないと、理性で自身を制御したのである。

なんと強い子だろうか。

カートリッジとなって深界第六層の呪いを肩代わりしたプルシュカはなおも鼓動していた。
箱に詰められ赤い肉片が覗くだけの姿になっても、上昇負荷による死の呪いを受けても、まだ生きていたのだ。

プルシュカの心の声が非情に痛々しい。
今まで深界第五層だけで生きてきて、外の世界を知らないプルシュカは「冒険したい」という気持ちがずっとあった。

リコと出会って、その気持ちが更に強くなった。

解剖するための印を付けられ、自分の手足や自分の身体から出てきた赤い物体を見つめながらもなお、パパを信じていたし、リコたちと冒険したいと思っていた。

箱だけになってもプルシュカは自分を保っていたのだ。

最後にリコの胸に抱かれたプルシュカは、本当の限界を迎えようとしていた。
骨としての役割を持った箱から「溢れて」しまう。

そして白い塊を吐き出す。

白笛だった。

白笛の原料ユアワースは、人間が原料である。
原料となった人間が「自分の命を捧げてもよい」と思った相手が白笛の所有者となる。

リコはプルシュカの心と繋がり、見事白笛の所有者となった。

「劇場版メイドインアビス 深き魂の黎明」は、プルシュカの物語といっても過言ではない。

「深き魂」とはプルシュカの心の奥深くに眠る思いのことだろう。
その魂が黎明――リコとの旅立ちのときを迎えたとき、形になったものが白笛なのだ。

心の奥深くに眠る「もっと冒険したい」という思いがリコと通じ合った。
プルシュカは、リコたちと共に冒険することを選んだのだ。

新たなる旅路

戦闘可能な祈手はもういない。
ボンドルドはもうリコたちの冒険を止めない。

リコ、レグ、ナナチ、メイシャはイドフロント中央にある第六層行きの球体に乗り込んだ。

これで「劇場版メイドインアビス 深き魂の黎明」は終幕である。

第五層での物語をTVシリーズではなく映画として作ったのは正解だったと思う。

ボンドルドはメイドインアビスでも屈指の人気キャラだ。
数多の冒険者の中でも人類に最大級の貢献をしている人物で、人当たりもよい。
その裏ではこれでもかと悪虐の限りを尽くしている。
しかもその全てを「人類の発展のため」「研究のため」実行している。本心から。

その矛盾に満ちた歪すぎる人間性がある種のカリスマ性を生んでいるのだろう。

だからボンドルドを中心にした物語に力を入れるのは自然な流れといえる。

監督も「この作品は劇場なりOVAなり一本通して見せるほうが作品にとって幸せなんじゃないか」と語っている(パンフレットより)。

リコたちにとっても非常に重要な分岐点であったはずだ。

第六層は母ライザが飛び込んだ領域であり、二度と生きては戻れない領域でもある。
そこに行くということは、真の意味で母と同じ冒険家になることなのだ。

白笛を手に入れたこともリコに絶大な影響を与えたであろう。
白笛の素材は人間である。
それはつまり、今まで白笛になった人間は皆、誰かを生贄にして白笛になったということ。

これから白笛に出会うとき、相応の覚悟をしなければならない。
ボンドルドと同じくらい厄介な人間が待ち受けている可能性が高いからだ。
それはライザとて例外ではない。

リコたちがいつまでも冒険者であることを祈る。

アビスの祝福あれ!

パパ棒の謎

メイドインアビスには多くの謎が残されている。

レグの生い立ち、アビスの深層にあるもの、お祈り骸骨、第三層に現れたベニクチナワ、不屈の花園にあったと思われるライザのブレイズリーブなど、まだ明らかになっていないことがたくさんある。

その中でもとりわけ奇怪な謎が「パパ棒」である。

リコはプルシュカとの会話のなかで、レグのレグ棒に触れていた。
プルシュカは男なら誰でも持っているその棒のことを知らなかったので、リコが説明すると「パパ棒のことね!」と言った。

会話の流れからして「刺激を与えると大きくなる」という説明でピンときたように思える。
つまりパパことボンドルドは、プルシュカの前で大きくしていたということ

確かにプルシュカは幼い顔立ちの割に発育がよいが…
それにしたって娘に見せつけるとは。

度し難いぞ!ボンドルド!

ボンドルド、リコたちを第6階層に行かせるよう協力した説

原作を読んだときから疑問に思っていたことがある。

それは「なぜプルシュカはパッケージにされたのか?」という点である。

パッケージを作るだけならプルシュカである必要はない。
もとより身寄りのない子供を大量にさらって来ては解体していたのだ。

しかもプルシュカはパッケージを作るのを手伝っていた。
手伝いが減ることはボンドルドにとって損失だったはずだ。

もっと単純な話をすれば、プルシュカはボンドルドの娘である。
血の繋がりは薄いにせよ、ボンドルドはプルシュカに対して少なからず愛情を注いでいたはずである。
実際そのような描写はいくつか存在する。

プルシュカをパッケージにする理由として考えられるのは

1.制裁のため
 プルシュカはリコ一行を逃した。
これはボンドルドへの敵対行為である。
だからその制裁としてパッケージにした。
2.予定調和
 もとから「一定の年齢に達した」「実験が進んだ」といった条件を満たしたときパッケージにする予定だった

といったところだ。

制裁のため、というのは理由が弱すぎる。
並の悪党ならともかく、ボンドルドである。
まともな倫理観はもっていない。

自分をボコボコにしたリコ一行を褒めちぎるくらいだから、娘がしたことになんの怒りも覚えていないのではないか。

そこで考えられるのが予定調和説である。

プルシュカが一定の年齢に達する、実験が進展する、ボンドルドとプルシュカの信頼関係が築かれる、リコたちが到着する、といった条件を満たしたから、プルシュカをカートリッジにしたという考え方だ。

特に重要な条件は4つ目であろう。
その他の条件は映画開始地点で満たされていたと思われるからだ。

ボンドルドはこう言っている。

君たちは本当に素晴らしい
私達に足りない試練をもたらし
プルシュカを完成に導いてくれました

「プルシュカを完成」
これはボンドルドが明確な目的を持ってプルシュカを育成していたことを意味する。
もちろん親子愛ではなかろう。

愛に完成などない。
何かが完成するというのは、明確なゴール地点あってのことだ。
ボンドルドにとってプルシュカは目的達成の道具だった、ということになる。

「君たち」というのはリコ一行のことだ。
リコ一行がプルシュカを完成に導いたとするなら、リコたちとプルシュカの関係がトリガーになっていたはずだ。

プルシュカはリコたちと出会って大きく変化した。
ごく短い期間だったが、プルシュカは「もっと冒険したい」と強く思うようになる。

プルシュカにとってリコたちの物語はとても魅力的だった。
自分の知らない世界をたくさん見てきたリコたちは、プルシュカにとって憧れだった。
そんな人たちと一緒にいろんな世界を見たいと思った。

そう、プルシュカがリコたちに尊敬の念を抱くことが、プルシュカをカートリッジにする最後の条件だったのだ。

では、その目的はなにか。
プルシュカをカートリッジにすることで、一体なにが起こるのか。

もうおわかりだろう。

白笛

プルシュカはカートリッジとしての役割を終え、なれはてと化してまさに命が尽きようとしたとき、リコに抱きしめられる。

そして白笛を吐き出す。

白笛の素材となる『命を響く石』ユアワースは人間が原料だ。
白笛の所有者は、原料となる人間から命を捧げるほどの思いを受けていなくてはならない。

プルシュカが産み出した白笛は、リコを所有者として認めた。

この白笛は、ボンドルドが善意でリコに提供しようとしたものではないか?

なぜなら、

  • 新たな白笛はボンドルドにとって不要
  • リコ一行が訪れてからプルシュカをカートリッジ化した
  • ボンドルドにまともな倫理観はない

からである。

第六層を行き来する戦いが控えているからできる限り多くのカートリッジを用意しておきたかった、という考え方もできないことはない。

しかしボンドルドは自ら箱庭を戦場に選んでいる

つまり、意図的にカートリッジを使う機会を作った。

それはプルシュカを消費したかったから…
プルシュカを白笛にしたかったからではなかろうか。

ボンドルド自身は白笛が不要だから、わざわざ新しく白笛を作る理由はひとつ。

リコにプレゼントするためである。

白笛の連中は、人間性が捻じ曲がっている。
ライザはともかく、オーゼンの捻くれようは相当なものだ。
あの圧力のかけ方をしておきながら、最終的にはリコとレグを助けているくらいである。

そのオーゼンが「筋金入りのろくでなし」と評価するほど歪んでいるボ卿だから、リコを手助けするために娘を消費するくらいの胆力を見せてもおかしくはない。

「ナナチはかわいいですね」とか「君たちの来訪を心待ちにしています」とかいうセリフはきっと本心なのだ。
研究対象としての興味だけど…

というわけで、ボンドルドはリコたちに祝福を与えようとした。
あの白笛は、リコたちが第六層に行くことを可能にするためのもの
ではないだろうか?

自らが『祝福』を得ようとした説

ボンドルドがプルシュカをカートリッジにした理由をほかにも考えてみる。

『祝福』はアビスの上昇負荷(呪い)を何らかの理由で回避したときに得られる特典である。
ボンドルドはこれが欲しかったのではないか?

これは非情に有力な説だ。
事実、ボンドルドはカートリッジを利用し祝福を得ている。
異様な形状の目玉、トカゲのような尻尾、獣の手足。

最後の手足はレグとの最終決戦によって獲得したものだ。
この手は鋭い爪がついており、並の金属では歯が立たないレグの身体すらも貫く鋭さを持っていた(装甲の薄いへそ限定だが)。

祝福は、ナナチとミーティの例からわかるように、強い信頼関係が必要条件とみられる。
ボンドルドが祝福を得ようと思ったら、誰かから強く想われていなければならない。
だから、プルシュカをカートリッジにするためには、プルシュカからの信頼を獲得するまで待つ必要があった。

ただ、リコ一行の到着を待つ必要があったかどうかはわからない。
信頼関係自体はすでに築かれていただろうから、やろうと思えば映画開始前の時点でカートリッジにできたはずである。

そうしなかったのはなぜか。

レグとナナチを手に入れるための餌にしたかったから?

自分用の白笛を作ろうとした説

ボンドルドは自分の白笛を使えないから、娘の命を使って手に入れようとしたという説である。

ただ、自らの肉体を白笛にすることで克服しているからこの説は否定される。

おまけ マルルクちゃんの日常1

深界第二層の下部、シーカーキャンプでお師さまことオーゼンと暮らすマルルクちゃん。
マルルクちゃんはいつもどんな日常を送っているのでしょうか?

マルルクちゃんは困りました。
お師さまがご飯を食べてから突っ伏して眠ってしまったからです。
このままでは風邪を引いてしまいます。

なんとかしてベッドに連れて行こうとしますが、マルルクちゃんの力では巨体のオーゼンはぴくりとも動きません。

そこでマルルクちゃんは知恵を絞ります。

マルルク
マルルク
そうだ、滑車を使おう!

壁の出っ張りを使って縄を引き、そこに滑車をぶら下げます。
滑車の原理によって小さな力で大きなものを動かすことができるようになりました!

マルルクちゃん、なんて頭がいいんでしょう!

滑車で持ち上げたからと言って部屋に運べるわけではないが。

オーゼンを縄で縛り、反対側を引っ張りますが、やっぱり動きません。
滑車の原理を持ってしてもオーゼンは重すぎるのです。

オーゼンが軽く動いただけでマルルクちゃんのほうが持ち上げられてしまうほどです。

マルルクちゃんは考えます。
どうしたらこの苦境を脱することができるのか…

マルルク
マルルク
そうだ、もっと滑車を増やそう!!

なるほどぉ~!マルルクちゃん天才!!

マルルクちゃんは大量の滑車を用意しました。
そしてついに、お師さまを引っ張り上げることに成功します。

すると縄に縛られていた巨体が目を覚ましました。
伸びをしたところ、縛っていた縄が急激に引っ張られました。

するとどうでしょう、マルルクちゃんは思い切り持ち上げられてしまいました。
その先に待っているのは大量の縄。

これはもう、結果は見えていますね。

そうです、亀甲縛りです!

マルルクちゃんは過激で本格的な縄の束縛によって身動きが取れなくなってしまいました。

その様を楽しそうに眺めながらオーゼンは茶をすすりましたとさ。

めでたしめでたし。

 

ABOUT ME
gonzares
27歳ITエンジニアであり提督でもある。 彼女いない歴=年齢である理由を真剣に考える。 趣味は読書・ゲーム・ネットサーフィン等、インドア派。 こっそり小説を書く練習をしている。